巨船、神戸に来たる(1)

ついに博多に来航した14万総トンの巨船、「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」がついに本土の港、神戸に来港した。神戸からは京都など、以前より人気があった関西圏の観光地が射程圏内に入るため、九州への寄港とはビジネスのボリュームが異なってくる。本サイトの主催者にして偉大なる航海作家金丸知好氏がさっそく神戸へ実物を見に行った。その船の大きさ、船内、そしてこれからのロイヤルカリビアン社の戦略など、もう一人のサイト主催者出口一幸氏も興味津々の様子。さて、今回の対談はいかに。

大浦;金丸さん、お帰りなさい。実際に神戸で見た船はどうでした?

金丸;駆け足で行ってきました。でもその入港シーンはもちろん、船内もしっかり見てきましたよ。

出口;ではさっそくその船の様子から聞かせてもらいたいですね。

金丸;まずはその神戸入港シーンなんですが、ただただ圧倒されましたね。私はボイジャー・オブ・ザ・シーズが停泊するポートターミナルと神戸大橋を隔てて浮かぶポートアイランドの北岸にある北公園から見ていたんです。ここは神戸に寄港する日本の客船やその他の外国客船などの出入港を眺めるにはいいポイントですからね。これまで何隻となく客船をここで見てきたもんです。でも、ボイジャーは別格でした。

出口;その「別格」というのは、やはり大きさ?

金丸;そう。圧倒的に大きい。神戸ポートターミナルへ入港する客船は、六甲の山並を背景にして写真に収まるものなんです。ところが、ボイジャーの場合はときおり六甲山脈がその巨体によって隠されるというか。実際はそんなことないのかもしれませんが、そういう錯覚を起こすほどの存在感があったんですね。14万トンはそれほどまでに大きいということが、少しでもわかっていただければ幸いです。

大浦;金丸さんのようにこれまで数多くの客船をウオッチしてきた方でも、それほどまでに驚愕されることがあるんですね。

金丸;私だけではありません。この日は月曜日だったにもかかわらず、ものすごい数の人たちが、私のいた北公園に集まっていました。ここだけじゃありません。船が到着するポートターミナル、神戸大橋の上なども黒山の人だかりで、公園から見上げると、「人が落ちそうだけど大丈夫かなあ?」って思えるくらい。ほとんどの方が客船ファンで、14万トン客船の姿を撮影しようと集結していたんですが、この方々もあまりの大きさに驚きや興奮を隠しきれていませんでしたからね。こんな船、滅多にあるもんじゃないですよ。

大浦;具体的な大きさはどのくらいなんでしょうか?

金丸;全長は311.12メートル。これは新幹線12輌分に相当します。高さは63メートル。ポートターミナルにボイジャーの大きさを示すイラストがあったんですけど、神戸市役所が高さ132メートル。ボイジャーの63メートルは市役所の17階と同じ高さなんだそうで…。普通のビルディングやマンションの17階って、かなりの高さですよ。

出口;その全長って、もうアメリカの空母みたいな大きさですね。最近の客船の構造方式は、住宅のようにキャビンなどの部品をあらかじめ作っておいて組み付けるそうですが、そうなると市場への対応も速くなりますね。

大浦;それだけの大きさに乗客はどのくらい乗れるんですか?

金丸;乗客定員はMAXで3840人ですよ!私がこのゴールデンウィークに乗った、ボイジャーと同じロイヤルカリビアン・インターナショナル社の「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」(7万総トン)の定員が1804人ですからね、それよりも2000人以上載せることができるという…。

出口;そりゃすごいな。

金丸;さらに乗組員が1180人ですからね。

大浦;今回の神戸初寄港時には、どれほどの乗客が乗っていたんですか?

金丸;驚かないでくださいよ。7月上旬という、決して大型休暇があるわけじゃないこの季節に、満席です!

大浦;満席ですって!誰が載っているんですか?

金丸;今回はおよそ3600人が中国人。約100人が米国人、別の約100人がオーストラリア人。なお日本人は14人です。日本の方々はこのクルーズの発着港である上海まで飛んで、日本までのクルーズ参加だと聞いています。

出口;3804分の3600が中国人!この船、ほとんど「浮かぶチャイナタウン」だな(笑)

金丸;今回に限らず、これまで行われたボイジャーの中国発着九州(博多や長崎など)寄港クルーズは、だいたいこんな感じの中国人ゲスト比率だったということですよ。神戸では下船開始と同時に、おびただしい数の中国人ゲストが押し出されるように下船してきました。それが2時間たっても途切れないんですよね。

大浦;やっぱりおじいちゃんやおばあちゃんなどシニア層ばっかりなんですか、日本みたいに。

金丸;ところがそうじゃないんです。もちろんお年寄りも多いですが、あらゆる世代が乗っているんですよ。小学生とおぼしき子供たちもいっぱいですし。ベビーカーに乗せられた赤ん坊も珍しくありません。中国は大家族まるごと乗ってくるから、全世代集結なんてこともよくあるらしいです。

出口;ということは、巨大な中国市場向けにこの巨大船を持ってきたということで間違いないんですかね。家族連れというのが、とても中国らしいというか、それはそれで、一つのスタイルと言えますよね。

金丸;ええ。もともとロイヤルカリビアン・インターナショナルは中国市場開拓のため、現在は私も乗船したレジェンド・オブ・ザ・シーズを東アジアで運航していたんですが、1800人乗りではとてもキャパシティが足りなくなり、3800人乗りでも充分お釣りがくると踏んで、まずこのボイジャーを持ってきたんですね。さらに来年には、ボイジャーの姉妹船「マリナー・オブ・ザ・シーズ」(14万総トン)もアジア配船が決まっています。ボイジャーの巨大さに圧倒されたわけですが、14万トン2隻でも充分元が取れるという中国市場の巨大さと潜在力にも同時に驚かされます。

巨船、神戸に来たる(2)に続く

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